日本内科学会雑誌
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阻害型抗体(TSBAb)が関与した一過性出産後甲状腺機能低下症の1例
原 健椋田 稔朗深田 修司松塚 文夫平井 啓介小林 彰隈 寛二玉井 一
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1992 年 81 巻 6 号 p. 915-916

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抄録

症例は25歳,女性.第1子出産後7カ月に顔面の浮腫を自覚し,血清TSH濃度の上昇,血清Free T4濃度の低下より出産後甲状腺機能低下症と診断された.初診時にthyroid stimulation blocking antibody (TSBAb)活性の著明な上昇を認めたが,甲状腺ホルモン薬による補充療法中に同活性の低下を認め,出産後15.5カ月に同活性が陰性化した.出産後16.5カ月に補充療法を中止したが,その後もTSBAb活性は陰性のままで.甲状腺機能も正常に維持された.本症例はTSBAb活性により生じた.一過性出産後甲状腺機能低下症と考えられ,稀有であり興味深い.

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