日本内科学会雑誌
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輸血後GVHD
病態・診断・発症状況・対策
高橋 孝喜十字 猛夫
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1993 年 82 巻 5 号 p. 755-760

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抄録

輸血後GVHDは,輸血後1~2週間後に発熱と紅斑を認め,続いて肝機能障害・下痢・下血が出現する.さらに骨髄無形成による汎血球減少症を呈し,最終的には敗血症等の重症感染症や大量出血により死亡する.免疫不全状態にない症例にも発症することが明らかになり,従来「術後紅皮症」といわれたものの多くは本症と考えられる.有効な治療法がなく,現在も年間100例以上の発症が推定され,予防対策の確立が緊急課題である.現段階では輸血血液に対する1500~5000cGyの放射線照射が,有効性・安全性の面から広く実施可能な予防法と考えられる.適応のある待機手術例で自己血輸血を推進することが重要であり,内科系の医師の協力により各医療機関でその体制を整えることが期待される.以上の予防対策を広く講ずる前提に,臨床に携わる医師が本症の病態を正しく理解し,同種血輸血の有用性と危険性を正しく認識していただくことが必要と考えている.

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