1993 年 82 巻 8 号 p. 1200-1204
熱傷病棟,悪性腫瘍患者の入院している病棟,未熟児病棟, ICUなどでは免疫力が低下した患者が多く,重大な院内感染が生じやすい,真菌による院内感染は内因性のCandida, Torulopsis,外因性のAspergillus, Mucor, Cryptococcusなどによることが多く,これらの真菌は患者,勤務者,病棟器材などとの密接な関連のもとに患者周辺に増殖しており,たえず院内感染の危険をはらんでいるといえる.クリーンルームにおいても消化管および皮膚粘膜の常在真菌の根絶は不可能であり院内感染の危険はたえず存在しているといえる.一方,空調やカテーテル,医療器具を介した外因性真菌感染も院内感染の原因となりうる.したがって免疫力の低下している患者では予防対策は重要な意義を持ち,環境の整備とともに医療関係者や医療器具による感染を防ぐ工夫と常在真菌のコントロールが大切である.