日本内科学会雑誌
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血管内視鏡からみたacute coronary syndromes
水野 杏一栗田 明中村 治雄
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1993 年 82 巻 8 号 p. 1278-1283

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抄録

経皮的冠動脈血管内視鏡は色調を区別でき血管内腔を詳細に観察できる新しい診断法である.本法を用い急性冠動脈疾患(急性心筋梗塞,不安定狭心症等)の血管内腔を観察し検討したところ,急性冠動脈疾患では陳旧性心筋梗塞や安定型狭心症に比べ冠動脈粥腫の破綻,内膜亀裂,潰瘍等の内膜破壊及び冠動脈血栓が多く認められ,急性冠動脈疾患の病因として内膜破壊に基づく血栓形成が重要な役割を果していると思われた.また,黄色の粥腫が急性冠動脈疾患の狭窄部ないし閉塞部付近に多く存在することにより,脂質に富んだ軟らかいアテロ一ムが破綻しやすいことが判明した.一方,急性心筋梗塞と不安定狭心症で血栓の性状(赤色血栓か白色血栓か)に違いがあり,性状の違いが血栓溶解度の結果に影響を及ぼすことが分った.血管内視鏡は急性冠動脈疾患の病因の究明のみならず治療方針を決定する際に役立つことがわかり,今後有用性が増すと思われる.

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