日本内科学会雑誌
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アンジオテンシンII受容体の分子生物学とそのアンタゴニストの臨床応用
日和田 邦男
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1994 年 83 巻 1 号 p. 143-148

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抄録

レニン・アンジオテンシン系は血圧調節と体液・電解質のホメオスターシスにおける生体内の基本的な系を構成している.この系の活性物質はアンジオテンシンIIであり,この系の遮断にはアンジオテンシンIIの作用する受容体レベルでのアゴニスト作用のないアンタゴニストの開発が久しく求められていた.一方ペプチド性放射性リガンド結合実験の結果,少なくとも二つの異なったアンジオテンシンII受容体が存在することが明らかにされた.今までに明らかにされているアンジオテンシンIIの作用を発現する受容体はAT1,最近開発されたアンジオテンシンII受容体アンタゴニストのロサルタンが結合しない受容体はAT2と命名された.さらに,アンジオテンシンII受容体cDNAのクローニングの結果から, AT1にはサブタイプAT1AとAT1Bの存在も明らかにされた.アンジオテンシンII受容体の分子生物学についての最近の成績とそれら受容体に特異的なアンタゴニストとその臨床応用について解説した.

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