日本内科学会雑誌
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腫瘍内で局所的な凝固線溶系の亢進を認めた肝細胞癌の1例
川上 訓石野 祐三子熊倉 泰久福田 正巳大谷 雅彦木村 健藤井 丈士
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1994 年 83 巻 11 号 p. 1982-1983

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抄録

症例は57歳,女性.歯肉出血の止血が困難となり入院.右上腹部に巨大腫瘤を触知.血液検査では,血色素量及び血小板数の著明な低下と凝固線溶系の亢進を認めた.腹部超音波検査, CT, MRCTでは肝右葉全体を占める巨大な腫瘤を認め,肝血管腫が強く疑われた.このため血管塞栓術及び拡大肝右葉切除術を施行.術後速やかに凝固線溶系は正常化した.腫瘍の病理診断は肝細胞癌であり, Kasabach-Merritt症候群と同様の所見を呈する例は極めてまれと考えられる.

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