日本内科学会雑誌
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MRSの脳疾患への応用
湯浅 龍彦梅田 雅宏桑原 武夫
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1994 年 83 巻 6 号 p. 1003-1008

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抄録

近年磁気共鳴スペクトロスコピー法(MRS)が脳の研究手段として注目されるようになり,また,実際に臨床応用が現実のものとなってきた.観測対象とされる核種は, 1Hや31Pが主なものであるが, 23Naや13Cも有望である. MRSが他の臨床検査法と決定的に異なる特徴点は,生体(脳)の生化学情報を非侵襲的に入手出来ることにある. MR画像(MRI)とMRSには本質的な差はなく,信号の処理過程の違いだけである. MRIは生化学情報にもとづく画像であってX線CT画像とは本質的に異なる. MRIとMRSを組み合わせることにより,脳の局所情報と生化学清報を同時に知ることができる, MRI情報を分単位の時間経過で追跡すると脳機能画象が得られる.このようにしてMRI/MRSは脳の生化学情報を与えるのみならず,ダイナミックな機能情報を入手出来る手法として将来的発展が約束されている.これまでにも脳の発達に伴う変化,脳血管障害, Alzheimer病,多発性硬化症,てんかんなどへ応用がなされ,今,脳機能画像への展開が始まったところである.

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