日本内科学会雑誌
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喘息発作にて発症し,著明な好酸球増加症を示した鉤虫症の1例
山本 尚森山 裕之前川 信行荻野 宗次郎富樫 満熊野 英典貝沼 知男
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1995 年 84 巻 1 号 p. 135-137

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抄録

症例は57歳男性.主訴は夜間喘息発作.前胸部に軽い喘鳴を聴取した.末梢血白血球数18700/μl,好酸球87%, IgE3600IU/lと異常高値を示し,軽度の肝機能障害も認められ入院した.胸部X-P, CT,血清抗体価,虫卵検査等では異常を認めなかった.経気管支肺生検,肝生検,骨髄生検などを試みたが確診できず,治療的診断としてpyrantel pamoate(以後PP)を投与したところ白血球,好酸球の減少,肝機能の改善を認めた.さらに経過観察中,糞便中に虫卵が検出され,鉤虫症と診断された.好酸球増加をきたす疾患群の鑑別診断上寄生虫疾患の検索の重要性を示唆する症例であった.

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