1995 年 84 巻 8 号 p. 1290-1294
食欲調節の多くが中枢性になされているところから,薬物による食欲抑制については古くから関心がもたれていた.わが国におけるこの方面の臨床研究は, mazindolの導入とともに本格的に行われた.その結果,全国の多施設による二重盲検比較試験ほかの成績を踏まえて, 1991年に本薬は劇薬,向精神薬の指定下で健康保険の適用を受けるに至った.ここでは,食欲抑制薬による抗肥満効果について,わが国で唯一使用可能な高度肥満症患者を適応とするmazindolの適正な用い方,留意点などを中心に解説した.