1996 年 85 巻 1 号 p. 123-128
炎症性筋疾患のうち代表的な3疾患(多発筋炎: PM,皮膚筋炎: DM,封入体筋炎: IBM)をとり上げ,その臨床・病理学的特徴について述べるとともに,これらの疾患の病態解明に関する最近の研究成果を紹介した.現時点ではこれら3疾患の原因は不明であるが,いずれも自己免疫機序による筋崩壊が生じている傍証が得られている.すなわちPMとIBMについては細胞障害性T細胞(CTL)による筋線維の崩壊が, DMについては免疫複合体と補体を介した血管障害による筋線維の虚血が存在する.さらにT細胞レセプターの解析やCTL内顆粒の研究を通じて, PM, IBMにおける免疫学的機序が明らかになりつつある.なお, IBMの成因におけるprion蛋白やβ-amyloid蛋白の関与も検討されている.