1996 年 85 巻 6 号 p. 850-856
近年,赤血球系造血因子のエリスロポエチン,好中球に特異的な顆粒球コロニー刺激因子が臨床応用され,劇的な効果が証明されたのに対し,血小板産生を特異的に刺激する造血因子の同定は遅れていた.しかし, 1994年遂にトロンボポエチン(TPO)が遺伝子クローニングされた. TPOは強力かつ特異的に血小板産生を刺激するので,副作用も少ないと予想され,臨床医が悩まされてきた癌の化学療法,骨髄移植,放射線照射など血小板減少を来たす病態の治療に劇的な効果が期待されている.