1997 年 86 巻 10 号 p. 1891-1896
尿細管性アシドーシスとは糸球体濾過量が正常か軽度低下にもかかわらず代謝性アシドーシスがみられる場合で尿細管からの酸排泄の低下が原因である.障害部位により,近位尿細管性アシドーシスと遠位尿細管性アシドーシスに分けられる.近位尿細管性アシドーシスは低K血症を呈するが,遠位尿細管性アシドーシスには低K血症を呈するものと高K血症を呈するものとがある.炭酸水素ナトリウム負荷試験,酸負荷試験,フロセミド負荷試験,硫酸ナトリウム負荷試験,中性リン酸ナトリウム負荷試験などにより障害部位および機序を鑑別する.