日本内科学会雑誌
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呼吸不全
肺気腫に対する肺容量減少手術
栗山 喬之
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1997 年 86 巻 11 号 p. 2168-2174

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抄録

わが国の呼吸不全の基礎疾患のうち約30%が慢性閉塞性肺疾患で最も多く,そのうち肺気腫が大部分を占める.高齢化が進むにつれて,肺気腫への対策が重要となる.在宅酸素療法は呼吸不全を伴う肺気腫例に適用され,生命予後の改善をもたらすことが明らかになったが,呼吸困難に対しては抗コリン剤,ステロイド剤などが包括的呼吸リハビリの一環として使用されているが,内科的対応には限界があり, QOLを阻害する呼吸困難への対策は深刻な問題である.肺移植の可能な欧米では重症肺気腫には肺移植が行われることがあるが,ドナーに限りがあること,費用の点からも誰でもその恩恵を享受できるとはいえない.最近このような肺気腫に肺容量減少手術が行われ,肺機能,呼吸困難に対して一定の改善効果が報告され,急速に広がっている.しかし患者選択基準,除外基準,効果の持続,さらに医療経済上の観点から問題点が指摘され,米国では大規模な臨床試験が行われることになった,わが国でも関心ある外科医が取り組み,知見が蓄積されているが,内科,外科,コメディカルスタッフの協力が必須とされており,内科医が積極的に参画することが望まれている.

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