日本内科学会雑誌
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ストレス蛋白と自己免疫疾患
簑田 清次
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1997 年 86 巻 6 号 p. 1048-1054

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抄録

原核細胞から哺乳類細胞にいたるまで最もアミノ酸配列が保存された蛋白の一つであるストレス蛋白は,免疫原性が非常に強いことが明らかとなった.この保存と免疫原性を兼ね備えていることにより,この蛋白は免疫と寛容の接点に位置していると考えられ,自己免疫疾患における役割が研究された.臓器特異的自己免疫疾患の動物モデルにおける研究が多く認められるが,現在のところ,ストレス蛋白の重要性は状況証拠にすぎない.
慢性関節リウマチでは従来,結核菌のhsp60に対する免疫反応が報告されていたが,われわれの最近のデータでは,大腸菌のhsp60が主要な抗原であり,他の種のhsp60に対する免疫反応は交叉反応である可能性がある.慢性関節リウマチにおける腸内細菌の重要性を示唆していると考えている.

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