日本内科学会雑誌
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3.後天性血栓傾向
1)抗リン脂質抗体症候群と血栓症
松田 重三
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1997 年 86 巻 6 号 p. 941-946

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抄録

抗カルジオリピン抗体(aCL)やループスアンチコアグラント(LA)で代表される抗リン脂質抗体(aPL)は,全身性エリテマトーデスや抗リン脂質抗体症候群に出現し,動静脈血栓症や習慣性流早産などの原因となるリン脂質に対する自己抗体である. aPLが血栓症をもたらす機序は, aPLの内皮傷害,血小板活性化,凝固因子産生増強,線溶因子産生抑制あるいは抗線溶因子作用などが推察されるも, aPL産生機序とともに不明である. aPL陽性者全てに血栓症が合併するとは限らず,その既往のある患者など,リスクに応じて抗血栓療法を実施する.

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