全身性膠原病では肝・膵を含めて口腔から直腸に至るまでさまざな消化器病変がみられ,その病因も膠原病そのものの病変以外に,合併症や治療薬剤による有害事象としての病変を鑑別しなければならない.前者の機序として,抗リン脂質抗体や抗白血球細胞質抗体が疾患を越えて血管病変の機序として注目され,その測定方法の改良と作用機序の解明が進んでいる.診断は内視鏡検査,造影検査,組織生検,超音波検査, CTを組合わせてなされるが,原疾患の活動性の評価も大切である.治療については血管炎による病変には一般に大量のステロイドが必要であるが,ステロイド薬は様々な消化器系の副作用を示すことから,治療の選択に迷うことも多い.小腸や大腸の難治性潰瘍性病変に対しては,炎症性腸疾患に準拠して,サルファサラジンやシクロスポリンも用いられる.