1997 年 86 巻 8 号 p. 1385-1389
抗カルジオリピン抗体(aCL),ループスアンチコアグラントといった抗リン脂質抗体と動静脈血栓症,習慣流産,血小板減少などの臨床症状が関連することが明らかになり,抗リン脂質抗体症候群(APS)という疾患概念が提唱されるようになった.血栓症の起こる機序については未だ明らかになっていないが, β2グリコプロテインIのもつ抗凝固活性をaCLが阻害する可能性が考えられている. APSの治療は,一般に抗血小板療法,抗凝固療法が行われるが,疾患の程度により副腎皮質ステロイド薬,免疫抑制薬,血漿交換療法などが選択される.