日本内科学会雑誌
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小胞体Ca2+動態と神経系
永田 栄一郎田中 耕太郎
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1998 年 87 巻 12 号 p. 2522-2529

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抄録

リアノジン受容体とイノシトール1, 4, 5三リン酸(IP3)受容体は細胞内Ca2+貯蔵部位である小胞体膜上に存在し,リアノジン受容体は細胞内Ca2+との, IP3受容体はIP3との結合によって小胞体内より細胞質へCa2+を放出するCa2+チャンネルである.生体内に広く分布しており,特に中枢神経系にはタイプ2, 3リアノジン受容体とタイプ1 IP3受容体が多く分布している.タイプ1リアノジン受容体は骨格筋に多く分布しており,リアノジン受容体の異常が悪性高熱や重症筋無力症に関係していることが明らかとなった.一方, IP3受容体は,受精時や神経系の発生過程において必要不可欠な役割を果たすのみならず,小脳のPurkinje細胞に特に多く存在し小脳機能の発現にも深く関与していることや,本受容体の欠損がてんかん発作の一原因になり得ることが明らかとなった.脳虚血急性期には海馬CA1でのリアノジン特異的結合能の抵下やタイプ1 IP3受容体の選択的脆弱性が明らかであり,同部の滑面小胞体の形態的変化を伴っている.しかし,タイプ3リアノジン受容体やタイプ2, 3 IP3受容体の機能については不明な点が多い.これらの受容体を含めた小胞体Ca2+動態の解明は,生命現象や各種疾患の病態生理を理解する上で重要であり,今後更なる研究の発展が望まれる.

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