日本内科学会雑誌
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T細胞認識癌抗原を用いた新しい癌の免疫療法
河上 裕
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1998 年 87 巻 12 号 p. 2536-2544

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抄録

分子生物学および免疫学の進歩にともないヒトの癌に対する免疫応答も分子レベルで解析することが可能になり,最近メラノーマを中心に腫瘍拒絶に重要な役割を果たすT細胞が認識するヒト癌抗原が各種単離同定された.その結果,抗原は組織特異的蛋白由来の自己ペプチドや腫瘍細胞の遺伝子異常に由来する変異ペプチドであることが判明した.これらは各種癌にもHLAによって必ず細胞表面に提示されている分子である.患者体内では癌抗原に対する免疫応答が通常十分に惹起されないとしても,新しい技術を用いて標的分子に対する免疫が誘導できれば様々な癌に対する免疫療法も可能であろう.欧米では新しい癌抗原特異的免疫療法の第一相臨床試験がすでに進行中であり,メラノーマでは抗腫瘍効果が認められている.

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