1998 年 87 巻 4 号 p. 741-746
グアニリンとウログアニリンは,グアニル酸シクラーゼ結合C型受容体(GC-C)に対する内在性リガンドとして哺乳類の腸管と尿から単離された生理活性ペプチドである.両ペプチドは腸管と腎で,水とNaClの吸収抑制と排泄促進に作用する.グアニリンは主として十二指腸以下の消化管粘膜上皮に存在し,一方,ウログアニリンは胃,腸に加え,腎,膵臓,肺にも存在している.両ペプチドは腸管管腔内と血中に分泌され,その血漿濃度はカルチノイド, Zollinger-Ellison症候群,心不全および腎不全で上昇している. NaClの経口負荷量に応じて腸管での両ペプチドの産生・分泌量は変動する.特にウログアニリンはNaCl代謝に関して,腸管と腎を内分泌的に結ぶ物質と考えられている.グアニリンペプチドファミリーは,水・NaCl代謝調節に関与している新たな生理活性ペプチドであり,体液調節の病熊生理との関連が注目される.