日本内科学会雑誌
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Vibrio vulnificus感染症
藤山 重俊田中 基彦
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87 巻 (1998) 5 号 p. 934-940

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抄録

Vibrio vulnificusは好塩性で河口に近い海岸の海水中に見出されるVibrio属の細菌で,生の魚介類からの経口感染,あるいは海水による皮膚創傷からの経皮感染が主な感染経路である.本菌感染症は,敗血症や皮膚病変をきたし,急激な経過を辿る予後不良の疾患である.本症の大半を占める原発性敗血症型は50~60歳代の男性に多く,発症時期は5月から10月に限られ,基礎疾患としで慢性肝疾患,とくに肝硬変を有する.魚介類の生食後ほぼ24時間以内(多くは7~8時間)に高熱が出現し,続いて腹痛,下痢,嘔吐などの消化器症状,さらに四肢に多い疼痛とその部を中心とした浮腫,紅斑,水疱,蜂窩織炎などの皮膚病変を認めた後,ショック状態となることが多い.すなわち,肝硬変などの慢性肝疾患患者が,夏季に,魚介類の生食もしくは海水との接触後に,急激な経過で敗血症症状とともに蜂窩織炎や水庖などの皮膚病変を認めた場合には本症を強く疑う必要がある.確定診断は血液や皮膚病巣などから菌を分離,同定する事によってなされるが,本症が疑われたら早急にテトラサイクリン系や第3世代セフェム系抗菌薬の投与を行うことが何より重要である.

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