日本内科学会雑誌
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5.褐色細胞腫の高血圧発作
野村 馨
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1998 年 87 巻 6 号 p. 1085-1090

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抄録

褐色細胞腫は二次性高血圧をおこす代表的疾患であり,しばしば著しい血圧の変動を呈することで有名である.高血圧は腫瘍からのカテコールアミン過剰分泌が第一の原因である.しかし腫瘍から放出されたカテコールアミンは交感神経終末に取り込まれ,神経インパルスによりそこから放出される機序がある.これが血圧変動の一因となつている.さらに腫瘍からは機械的圧迫,薬物などの誘因によりカテコールアミンが放出され血圧の変動を来たす.またカテコールアミン過剰により受容体数が減少し感受性の低下がおき起立時の低血圧がおきやすい.高血圧クリーゼは致命的なこともあり,速やかな診断と治療が必要である. α1受容体遮断薬であるレギチーンの静脈投与が基本となる.
高血圧発作/高血圧クリーゼの病態,診断および治療について紹介する.

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