日本内科学会雑誌
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血液細胞と転写因子
清水 律子山本 雅之
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1999 年 88 巻 10 号 p. 2057-2063

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抄録

血液細胞は,造血幹細胞から転写因子ネットワークの制御を受けて分化する.近年,遺伝子解析手法の進歩により,多くの転写因子が血液がん発症に関与していることが明らかとなった.白血病の病因には,転写因子機能の失調が深く関与している.そのメカニズムは, 1)通常ではほとんど発現しない転写因子が,高レベルに発現する遺伝子の調節領域に転座して高発現するようになったもの(量的変化), 2) 2つの異なった遺伝子が転座により再融合し,通常と異なった機能を持つキメラ転写因子を創り出すために発症するもの(質的変化),に大別される.このような病因の正確な理解が,正確な診断法や新しい治療法の開発に必須である.

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