日本内科学会雑誌
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肺癌と腫瘍随伴症候群
清水 英治山本 晃義
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1999 年 88 巻 11 号 p. 2252-2259

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抄録

腫瘍随伴症候群は,腫瘍による浸潤,圧迫,閉塞などの直接的な症状ではなく,腫瘍が産生する生理活性物質や腫瘍が誘導した自己免疫反応による間接的な症状と定義される.肺癌の10~20%に腫瘍随伴症候群が合併するといわれており,小細胞肺癌に高頻度に認められる.腫瘍随伴症候群の出現が肺癌の臨床診断に先行することがあり,肺癌発見の契機となる.また, Lambert-Eaton筋無力症候群におけるVGCC抗体のように,抗体価が肺癌の病勢と相関することがあり,腫瘍随伴症候群を一種の腫瘍マーカーとしてとらえることができる.非小細胞肺癌の末期に合併することの多い高カルシウム血症は,ビスフォスフォネートの開発によりコントロールが容易になり,患者のquality of lifeの改善に役立っている.近年,分子生物学的手法の発達により神経症候群に出現する自己抗体の解析が進み,肺癌にともなう腫瘍随伴症候群の病態が次第に明らかになりつつある.

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