88 巻 (1999) 5 号 p. 920-927
血管生物学・血管作動性物質の研究が進み,高血圧症を遺伝的学素因から解析する手法に加え,これまで体質素因が重要と思われていた高血圧を血圧だけでなく臓器合併症に注目し,個々の病態に合わせて治療する流れにある.この中でも,実際の高血圧医療に最も貢献の大きいのはレニン・アンジオテンシン系の領域でありACE阻害薬が質的降圧療法の基本となりつつある.しかし,ごく最近本邦でも臨床応用が始まったアンジオテンシン(AngII)受容体拮抗薬はAngII作用を阻害する点ではACE阻害薬と一致するものの,薬理作用や副作用の発現に大きな違いがあり,この点を理解して高血圧合併症病態に応じた使い分けが重要である.特にAngII受容体拮抗薬の使用時には血中AngII濃度が上昇し残された2型AngII受容体を選択的に刺激することになり, ACE阻害薬とは異なった薬理作用が発揮される.