2000 年 89 巻 10 号 p. 2189-2194
近年の画像診断の進歩により無症候性の腫瘍性病変を偶然発見する機会が増加した.これをincidentaloma(偶発腫)と呼ぶ.頻度の高さから特に副腎におこる腫瘍を指して言うことが多い.大部分は非機能性の良性腫瘍であるが,機能性腫瘍や悪性腫瘍も稀ならず発見される.このためincidentalomaに遭遇したときには注意深い検査を進める必要がある.機能性腫瘍にはpreclinical Cushing症候群,褐色細胞腫,原発性アルドステロン症等が含まれる. 1996年にはpreclinical Cushing症候群の診断基準が示された.これを中心にincidentalomaの評価法と取り扱いについて論じる.