日本内科学会雑誌
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原発性胆汁性肝硬変(PBC)とその周辺疾患
前田 隆岩崎 信二西原 利治大西 三朗
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2000 年 89 巻 5 号 p. 1003-1010

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抄録

PBCは自己免疫学的機序にもとづくき,小葉間胆管の破壊により惹起される慢性肝内胆汁うっ滞である.疾患特異的に検出される抗ミトコンドリア抗体(AMA)の対応抗原の分子生物学的解析を糸口にして,病因に関する新しい知見が集積されつつあるが,その本態は未だ不明である.本症は皮膚掻痒で初発することが多く,黄疸は出現後消退することなく漸増し,終末像である胆汁性肝硬変の治療法は肝移植のみである.皮膚掻痒,黄疸などの症状を欠く無症候性PBCの予後は概ね良好であるが,その約10%は進行性でありウルソデオキシコール酸などによる治療が有効とされている. AMA陰性,抗核抗体陽性で組織学的にPBCの胆管病変を有する症例に対して,自己免疫性胆管炎という新たな疾患概念が提唱されている.また, PBC症例のなかで自己免疫性肝炎の臨床像,病理像を同時に有する症例はoverlap syndromeとして取り扱われ,ステロイドなどの免疫抑制剤が奏功するとされている.

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