日本内科学会雑誌
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閉塞性肺疾患に対する吸入療法の最近の話題
光延 文裕御舩 尚志谷崎 勝朗
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2000 年 89 巻 5 号 p. 995-1002

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抄録

閉塞性肺疾患では,薬剤を直接気道へ到達させる方が速やかな効果の発現が期待でき,かつ投与量も少量ですむので全身的な副作用を軽減することができる.しかし吸入すること自体,特に正確に吸入することには,患者のある程度の理解力が必要であり,患者に正しく吸入方法を修得してもらうための患者指導が重要になってくる.従来,わが国では吸入療法は十分浸透せず,使用の簡便な経口薬が主体を占めていたが,今後は吸入薬の占める割合が増加するものと思われる.近年発表された気管支喘息,慢性閉塞性肺疾患(COPD)のガイドラインにおいても吸入療法の重要性が強調されている.さらに新しい薬剤送達系としてドライパウダー吸入(dry powder inhaler: DPI)が導入され,従来の加圧式定量噴霧式吸入器(pressurized metered-dose inhaler: pMDI)に比較して有効であることが示されている.今後,閉塞性肺疾患の治療法として吸入療法が普及し,その重要性が増すと考えられる.

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