2000 年 89 巻 7 号 p. 1349-1357
透析患者は種々免疫調節機構の異常が存在するために,易感染性および発癌頻度が高い病態を有していると考えられる.透析患者の死亡原因の中で感染症の占める位置は現在第2位となっており,透析患者の高齢化および糖尿病性腎症由来の透析患者の増加により,今後ますます重要な合併症になると考えられる.特に院内感染としての結核症, MRSA感染症および血液媒介ウイルス感染症などに対する対策を確立しておくことが望まれる.透析患者に高い頻度で合供する悪性腫瘍は多発性のう胞腎に発生する腎細胞癌,消化器癌および肝癌などがあり,長期透析患者の予後に今後大いに関わってくると考えられる.