2000 年 89 巻 7 号 p. 1392-1397
腎不全のプライマリーケアのゴールである腎移植の課題はいかに長期に移植腎機能を保持するかにある.昨今の優れた免疫抑制薬の開発により急性拒絶反応の診断治療はほぼ克服された.その一方で慢性拒絶反応による移植腎喪失は全く改善していない.この急性拒絶反応と慢性拒絶反応との間に潜行するsubclinical rejectionの存在がプロトコールバイオプシーの集積により明らかになりつつある.また免疫抑制薬の持つもう一つの側面,すなわち高血圧,高脂血症,感染症,悪性腫瘍等は長期生着,生存に関するリスクファクターとして重要な課題である.