日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
肺血栓塞栓症と分子病態
久保 惠嗣
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 89 巻 8 号 p. 1657-1661

詳細
抄録

肺血栓塞栓症(PTE)は,突然の呼吸困難や循環障害を呈し急性期の死亡率の高い疾患で救急疾患として重要である.本邦でもその発生率は増加傾向にあるとされているが,本症に対する認識が低く見逃されやすい疾患である.本症の基礎疾患として骨盤部や下肢の深部静脈血栓症が最も重要である.この血栓症の原因の約半数は術後や長期臥床であり,その他心疾患,悪性疾患,膠原病などに合併するものが大部分である. PTEの基本的病態は言うまでもなく血栓形成にある.血管壁の異常,血液性状の変化(凝固能亢進),血流のうっ滞が血栓形成の3大要因である.これらのうち,血液性状の変化に対し,最近血液流動性維持機構の解明とともに分子病態からの解明が著しく進歩している.頻度は多くはないが内科的に重要な疾患がいくつか含まれている.本稿ではこれらのうち,特に再発性あるいは若年者のPTEの際に忘れてはならない疾患として抗リン脂質症候群,プロテインC欠乏症およびプロテインS欠乏症を取り上げ概説した.

著者関連情報
© (社)日本内科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top