日本内科学会雑誌
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膠原病と多剤耐性遺伝子
田中 良哉粟津 雄一郎河野 公俊
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2001 年 90 巻 1 号 p. 151-158

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抄録

多剤耐性遺伝子MDR-1がコードするP-糖蛋白質は,抗癌剤等の細胞障害性薬物投与により細胞膜に発現し,細胞内薬物を細胞外に能動輸送する機能を有する.膠原病・リウマチ性疾患においては,ステロイド薬や免疫抑制薬などの薬物長期連用を内科的治療法の主体とするが,多剤耐性の獲得のために治療に難渋する症例を少なからず経験する.多剤耐性の獲得には様々な機構が存在するが,ステロイド薬長期連用全身性エリテマトーデス患者の末梢血リンパ球では, MDR-1の転写因子YB-1とその産物P-糖蛋白質の発現が増強した結果,薬物の細胞外排出が促進しステロイド薬などに対する抵抗性獲得の原因となり得る.さらに,免疫抑制薬であるシクロスポリンは, P-糖蛋白質と拮抗的に結合してステロイド薬の細胞外排出を抑制し,薬物耐性を克服する可能性を示した.以上,膠原病・リウマチ性疾患患者に於けるステロイド薬を含む多剤耐性獲得とその克服という内科臨床上に於ける疑問点に対して, MDR-1/P-糖蛋白質の観点から最近の考え方を示した.

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