日本内科学会雑誌
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8.感染症の概念の新しい展開-germ theoryを超えて-
7) Airway Biofilm Diseaseと自己免疫
小林 治
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2001 年 90 巻 12 号 p. 2438-2442

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抄録

慢性気道感染症においては,しばしば気道内に長期間にわたる緑膿菌Pseudomonas aeruginosaの定着が観察され,病態を修飾することが知られている.かかる疾患から検出された緑膿菌は多く細菌biofilmを形成し,気道表面への長期局在に関連する一方,慢性気道感染症におけるTh2優位に傾向したリンパ球反応に乗じてbiofilmの成分を抗原とした抗原抗体反応を誘導し,病勢に関与することが判明した.さらに,生体側反応として自身の好中球細胞質成分であるbactericidal/permeability-increasing protein (以下BPI)に対する自己抗体,すなわちBPI-ANCA (anti neutrophil cytoplasmic autoantibody)が産生され,細菌貪食に抑制的に作用することが判明した.本稿においてはこのような慢性感染症独自の免疫反応を出来るだけevidenceに基づいて解説する.

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