2001 年 90 巻 12 号 p. 2494-2502
Crohn病の病態メカニズムが分子レベルで解明されつつあり,炎症性サイトカインをターゲットとした治療法,中でも抗TNF-α抗体療法がCrohn病の治療に臨床導入される予定である.抗TNF-α抗体は,炎症の中心で働くTNF-αと選択的に結合し,その作用を中和することで効果を発揮する.活動期のCrohn病患者に抗TNF抗体(infliximab)を単回静脈注射したところ,その有効性は82% (5mg/kg投与群)であった.また,排膿を示す外瘻を有する患者にinfliximabを3回投与した時の外瘻閉鎖率(半数以上閉鎖)は68%であり,主な副作用は頭痛,嘔気,上気道感染症,倦怠感などであった,抗TNF-α抗体はCrohn病の新しい治療法として期待される.