日本内科学会雑誌
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レプチンと心血管病変
小川 佳宏阿部 恵中尾 一和
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2001 年 90 巻 4 号 p. 705-710

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抄録

レプチンは脂肪組織に由来する新しいホルモンであり,主に視床下部に発現するレプチン受容体に作用して強力な飽食シグナルを伝達するとともに,交感神経活動亢進によるエネルギー消費増大をもたらし,肥満や体重増加の制御に関与すると考えられている.一方,血中レプチン濃度は体脂肪量の増加に比例して上昇するため,肥満や肥満に合併する循環器・代謝疾患におけるレプチンの病態生理的意義が注目されている.筆者らは,重症肥満者と同程度に血中濃度が上昇するレプチン過剰発現トランスジェニックマウスでは,交感神経活動亢進による血圧上昇が認められることを明らかにしている.又,レプチンは血管内皮細胞に作用して血管新生を促進し,マクロファージ機能調節に関与すると報告されている.以上より,レプチンは肥満に合併する高血圧や動脈硬化症の発症に関与する可能性が示唆される.

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