日本内科学会雑誌
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ビブリオ属菌敗血症
篠田 純男
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キーワード: ビブリオ, 敗血症
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2001 年 90 巻 5 号 p. 894-901

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抄録

ビブリオ属菌は自然環境水を本来の生息域とする細菌であるが,その中にはヒトに病原性を示す種も見られる.特に海水中に生息している菌種が多く,海産物の摂取による感染症を引き起こすことが多い.病原種にはコレラ菌や腸炎ビブリオなど下痢症を引き起こす種が多いが,創傷感染や,消化器から血流中に侵入して敗血症を起こし,全身症状を引き起こす菌種も見られる.敗血症は肝障害などの基礎疾患のある場合に見られる日和見感染で,時には急激に死の転帰をとるものがある.その代表がVibrio vulnificusで,特に米国ではかきの生食により重篤な敗血症を起こして高い致命率を示すために注目されている.我が国は海産物の摂取が多く腸炎ビブリオ食中毒が多いが, V. vulnificus等その他の病原ビブリオも海水中に広く分布している.高齢化社会を迎えて易感染性宿主が益々増加するのは明らかであり,ビブリオ属菌敗血症に対する十分な注意が必要である.

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