日本内科学会雑誌
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3.高齢者悪性リンパ腫の治療方針
北村 聖
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2001 年 90 巻 6 号 p. 1010-1018

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抄録

高齢者の悪性リンパ腫は予後が悪いと言われる.その原因として化学療法による早期死亡,加齢に伴う生体機能低下による抗腫瘍剤の副作用の増強,薬剤の減量による治療効果の低減,治療に関係のない原因による死亡が多いことなどがある.高齢者においても,ある程度の抗腫瘍剤が必要であるが,早期死亡の危険性が高い場合は, QOLの観点から,より弱い治療を行うことも多い.この判断には,主要臓器の予備力や全身状態の評価が重要と考える.すなわち,高齢者の場合は,病変の拡がりの検索に加えて,特に治療前の全身状態の正確な把握が治療法,薬剤の種類,薬剤量の決定に重要である.
われわれは,高齢者の身体機能を考慮し, Pirarubicin (THP)を使用した化学療法の検証を目的として, Low-dose CHOPと薬剤同等量のTHP-COP群,およびetoposideを加えたTHP-COPE群の無作為3群比較試験を実施した.奏効率・CR率は同等であり,副作用においてTHP-COP群が有意に少なく, CR例においては有意に生存期間の延長を見ることができた.悪性リンパ腫は比較的長い生存期間を期待できる疾患で有ることを考えると,心臓障害性が少ないTHP-COP療法は優れていると考えられた.

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