日本内科学会雑誌
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モノクローナル抗体によるB細胞リンパ腫の治療
飛内 賢正
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2001 年 90 巻 6 号 p. 1106-1111

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抄録

従来の抗体療法の壁を打破しうる,以下の3つの突破口が明らかになった: 1)マウス/ヒトキメラ抗体もしくはヒト化抗体, 2) immunotoxin, 3) radioimmunoconjugate.異種抗体が産生されにい,血中半減期が長い,ヒト免疫系の活性化効率上昇などがキメラ抗体の利点であり, B細胞リンパ腫に対するキメラ型抗CD20抗体(rituximab)の臨床的有用性が明らかにされた. Rituximabは骨髄毒性が軽度であるため, full doseの化学療法との併用が可能であり,化学療法との優れた併用効果が判明しつつある, B細胞リンパ腫に対する次世代のモノクローナル抗体療法として注目されるのが131I, 90Yなどの放射性同位元素を抱合したマウス型抗CD20抗体(radiolmmunoconjugate)であり, rituximabを上回る抗腫瘍効果が報告された.乳がん,急性骨髄性白血病に対して有効な抗体療法も登場しており,今後の悪性腫瘍治療において抗体療法が一定の役割を占めることは確実な情勢である.

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