日本内科学会雑誌
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1.蛋白尿による腎障害の進行機序
杉崎 徹三
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2001 年 90 巻 7 号 p. 1292-1298

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抄録

蛋白尿自体が腎障害を起こし,腎臓病を慢性化に導く可能性については常に論じられてきたが,その詳細な機序が不明であった為,ややなおざりにされていた.分子生物学の進歩が,その機序を明らかにするにつれて,慢性腎不全の治療にも明るい兆しを感じるようになった.蛋白尿中に含まれるアルブミン,脂質,ケモカイン,鉄は糸球体内のメサンギウム細胞,内皮細胞に働き,細胞外基質の産生に始まる糸球体硬化病変の形成に働き,更にそれらが尿細管細胞に作用することによる同細胞より間質へのケモカインの放出,同細胞自体の形質転換などが尿細管・間質の線維化に終結することが明らかになりつつある.今後,慢性化機序に基づく治療法の開発が益々発展することが期待される.

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