日本内科学会雑誌
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インフルエンザ・抗インフルエンザ薬出現でわかったこと
高平 好美安川 貢門名 嘉則
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2003 年 92 巻 12 号 p. 2446-2452

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抄録

平成12年からインフルエンザ流行の観測定点として浜松市保健所予防課および市保健環境研究所と連携し,インフルエンザ対策の診療所として診断および治療についての検討を分担してきた.平成12年には,迅速診断キットによるA型インフルエンザの診断が可能となり,抗インフルエンザ薬による治療として, A型インフルエンザに対するアマンタジンの著明な解熱効果と全身症状の改善が印象的であった.平成13年の秋から, A, B両型の診断可能な迅速キットが登場,更に抗インフルエンザ薬もアマンタジンについでノイラミニダーゼ阻害薬も登場したが, A型インフルエンザに対するアマンタジンと,オセルタミビルとの間に臨床効果に差を認めなかった.
平成14年はインフルエンザに対する抗ウイルス薬とマクロライド併用の臨床効果を検討したが,その結果,平熱に至るまでの時間に対する併用効果は認められなかったが,咳には減少効果を認めた.アマンタジンおよびオセルタミビルの併用では著明な臨床症状の改善を認めたが,罹患者でのウイルスの消長とは一致しなかった.平成15年, A香港, B型インフルエンザの抗インフルエンザ薬の効果と抗体産生に及ぼす影響を検討したが,抗体上昇の程度は低い傾向にあると考えられた.典型的なインフルエンザと抗インフルエンザ薬の症例を提示した.

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