日本内科学会雑誌
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酸化ストレスと自己免疫疾患
熊谷 俊一信原 由実子三枝 淳
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2003 年 92 巻 6 号 p. 1096-1103

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抄録

ヒト自己免疫疾患は多因子疾患であり,その発症には遺伝素因と環境因子が複雑に係わっている.過剰な酸化ストレスは,炎症の増強やアポトーシス誘導による組織障害,トレランスの破綻による自己免疫応答の惹起などにより,自己免疫の病態形成に深く関与している.
関節リウマチ患者の血中チオレドキシン(TRX)レベルは健常人に比し有意に高く,その関節液中には末梢血の数倍のTRXが含まれていた.患者関節滑膜細胞は抗TRX抗体で強く染色され,酸化ストレスの負荷が示唆された.また我々は,酸化ストレスがSS-A抗原のケラチノサイト細胞表面への発現を誘導する事を証明した.さらにシェーグレン症候群の疾患感受性遺伝子として,酸化ストレスに関連するグルタチオンS-トランスフェラーゼ遺伝子欠損を同定した.酸化ストレスの研究が,自己免疫疾患の病因解明とともに,発症や再燃の予防,新しい治療法開発へと結びつくことを願っている.

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