日本内科学会雑誌
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レプチンの多彩な生物作用と肥満関連疾患
小川 佳宏
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2004 年 93 巻 11 号 p. 2435-2441

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抄録

肥満は,環境因子と遺伝素因の複雑な相互作用により発症し,糖尿病,高血圧症,高脂血症,動脈硬化症等の多くの関連疾患の主要なリスクファクターとして注目されている.レプチンは,代表的な脂肪組織由来ホルモン(アディポサイトカイン)であり,発見当初は視床下部に直接作用して摂食量と体重増加を強力に抑制し,肥満や体重増加の制御に関与すると考えられてきた.しかしながら最近では,レプチンは視床下部を介して血圧上昇,骨形成抑制等,末梢組織にも直接作用して血管新生促進,血小板凝集促進や肝線維化促進等の多彩な生物作用(pleiotropic effects)をもたらすことが明らかになり,エネルギー代謝調節と肥満関連疾患をリンクする主要なメディエーターと位置づけられている.脂肪組織におけるレプチンの産生は体脂肪量に比例して増大するため,レプチンは肥満や肥満関連疾患の発症・進展に関与するものと想定される.

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