ダイオキシン受容体(AhR)に結合する低分子量の薬物毒物は,女性ホルモン(エストロゲン)の標的臓器に影響を与え,女性ホルモンの作用を撹乱することが,疫学や実験的な証拠により,示唆されてきた1).しかしながら,その撹乱の分子機構は長い間不明であった.今回筆者らのグループは女性ホルモン受容体(ER)とAhRが直接細胞核内で相互作用すること,更にこの相互作用によりERの機能が調節されることを分子レベルで証明した2).この機構により, AhRのリガンドとなる化合物質のエストロゲン作用撹乱の一部を説明するものと考えられた.