日本内科学会雑誌
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DNAチップ解析による造血器腫瘍診断
間野 博行
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2005 年 94 巻 10 号 p. 2224-2230

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抄録

ヒトゲノムプロジェクトが終了し我々の持つ蛋白質をコードする遺伝子の全体像が明らかになりつつある. DNAチップを用いることで,これら数万種類の遺伝子の発現量を任意の細胞・組織間で簡便に比べることが可能になった.現在急性骨髄性白血病や悪性リンパ腫など様々な造血器悪性腫瘍の患者サンプルをDNAチップで解析し,得られた遺伝子発現プロファイルの中から患者の長期予後にリンクするものをスクリーニングする試みが精力的に行われている.また最近は患者骨髄の単核球全体を解析するのではなく,極めて幼弱な造血幹細胞分画のみをあらかじめ純化した後DNAチップ解析を行う事も試みられている.同定された予後関連遺伝子群の発現量を基に各患者の予後を予測することがこれらのプロジェクトの目標であり,今後は遺伝予発現プロファイルに基づいた造血器悪性腫瘍の新しい分類法が提案されると期待される.

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