呼吸器領域で重症な呼吸不全を伴う陰影を持つ症例に遭遇した場合,感染症であるか間質性肺炎であるかしばしば問題となる.その場合の鑑別に最近臨床に用いられるようになった検査として間質性肺炎の血清マーカーであるKL-6, SP-Dがあり,重症感染症の肺炎球菌性肺炎,レジオネラ肺炎に対する迅速診断キットである尿中抗原検査法がある.いずれの検査も検体採取が容易で,高い感度,特異度を持ち従来の検査にはない有用性をもつ.しかし,その臨床応用にあたっては留意しなければならない点もいくつか指摘されている. KL-6, SP-Dでは,その急性期病変に対する反応の遅さがあり,レジオネラ尿中抗原検査は反応する血清型が限られる.それぞれの検査の特性を理解した上での臨床応用が必要である.