日本内科学会雑誌
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新時代に入った循環器疾患の抗血栓療法
後藤 信哉
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2005 年 94 巻 12 号 p. 2635-2641

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抄録

心筋梗塞,脳梗塞などを血栓症と総括すれば,急性発症する重篤な疾患の大半は血栓症である.抗凝固薬としてのワルファリン,抗血小板薬としてのアスピリンが,血栓症の予防,治療を目的に広く使用されている.いずれも各種血栓性疾患に対する予防,治療効果が複数の大規模臨床試験により確認されているものの,出血性合併症に代表される欠点も併せ持つ.既存の抗血栓薬の欠点を克服した,有効性,安全性に優れた薬物の開発のためには血栓形成メカニズムの正確な理解が前提となる.臨床検査で血栓の指標として用いられる血漿の凝固,血小板凝集などは血栓の性質の一部を反映するに過ぎない.血栓症の発症に全身性因子が関与することを考えれば,血小板,凝固系に影響を与えない全く新たな間接的抗血栓療法も可能と想定される.

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