日本内科学会雑誌
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COPDにおける吸入療法の新展開
寺本 信嗣山本 寛山口 泰弘
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2005 年 94 巻 4 号 p. 788-793

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抄録

COPDは完全には治らないが,治療できる病気である.治療薬から,病態を捉えれば,「COPDは,吸入抗コリン薬が奏効する閉塞性換気障害」である.吸入抗コリン薬は,副作用も少なく,肺気腫が大半を占める本邦のCOPD患者には安定期治療の第一選択薬となる.定期吸入によって,肺機能が改善し,息切れが減少し,生活の質が改善する. 2005年から使用可能なTiotropium bromineは,ムスカリン受容体M3を選択阻害し,一日1回1吸入で効果が得られる.また, β2刺激薬の追加効果もあるため,長時間作用型β2刺激薬(LABA)または短時間型作用型β2刺激薬(SABA)が併用される.欧米では, LABAとステロイドの合剤の吸入薬も使用されている.吸入療法は,病態の上から最も理にかなった治療であり,禁煙の徹底と同時に早期に吸入療法を導入し,治療のされない「neg1ected disease」から,誰もが治療できる「common disease」へ転換すべき時代を迎えている.

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