物性若手夏の学校テキスト
Online ISSN : 2758-2159
第67回物性若手夏の学校
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強相関電子系の超高速光誘起相転移
*岡本 博
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p. 176-187

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抄録
可視光を照射したとき固体の電子相が一変する現象“光誘起相転移”は、フェムト秒レーザーパルスを用いたポンプ・プローブ分光により盛んに研究されてきた。その対象として注目されてきた物質群に強相関(電子)系がある。強相関系では、光照射によって生じた電子励起や光キャリアが強い電子間相互作用を通して周囲の電子系を変化させることにより、高速かつ高効率の光誘起相転移が起こる。最近では、中心周波数が約 1 テラヘルツである単一サイクルの電磁場=テラヘルツパルスや数サイクルの電磁場として得られる中赤外パルスを励起光に用いて、強相関系の電子状態を制御しようという研究も行われるようになってきた。本セミナーでは、最初に、強相関系である遷移金属化合物や有機分子性物質で生じるいくつかの典型的な光誘起相転移(光誘起絶縁体−金属転移や中性−イオン性転移等)について解説する。その後、テラヘルツパルスの電場成分を用いた光誘起相転移の研究を概説する。また、中赤外パルスを用いた分子振動励起による相転移やフォノンドレスト状態の観測等の最新のトピックスについても紹介したい。
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© 2023 岡本博
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