抄録
量子のスケールを扱う固体物理と目で見える(古典の)スケールを扱う生物物理、2つの分野は一見独立
しているように思えるでしょう。しかし、今回お話しするトポロジカルアクティブマターはこれらの独立し
て見える分野を結びつけるものとなっています。トポロジカルアクティブマターのトポロジカルというの
は、トポロジカル絶縁体と呼ばれる物質群に由来しています。トポロジカル絶縁体ではバンド構造の非自明
なトポロジーに対応して、エッジモードと呼ばれる試料端に局在した固有状態が出現します。一方で、アク
ティブマターは自走粒子の集団を指す言葉で、生物集団などのモデルとして利用されています。トポロジカ
ルアクティブマターの理論は、エッジモードがそのような生物集団でも実現することを予言します。
本集中ゼミでは、トポロジカル絶縁体とアクティブマターの両方の基礎理論から説明を始めます。そし
て、アクティブマターを記述する流体方程式に基づいて、その線形化によってシュレディンガー方程式とア
クティブマターのダイナミクスを結びつけることができることを説明し、その実効的なシュレディンガー方
程式のハミルトニアンにトポロジカルな性質を持たせる方法を紹介します。また、近年注目を集めている非
エルミートなどへの拡張についても時間の許す範囲で紹介できればと思います。