名古屋文理大学紀要
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キリスト教神学における歴史認識 -ラインホールド・ニーバーによる「恵み」の意味の解釈について-
佐久間 重
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2008 年 8 巻 p. 103-108

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抄録

本論は,ラインホールド・ニーバーが彼の著作『人間の本性と運命』の中で神の「恵み」についてどのように解釈しているかを詳述したものである.ニーバーの解釈を通じて,キリスト者ではない人にとっては難解なキリスト教神学を解りやすくすることを狙いとしている.新約聖書にある神の「恵み」という教義は,一つには,神がキリストを通じて自分では罪を克服できない人間に与える「憐れみ」を意味し,もう一つには,人間の資質に神の「知恵」と「力」を分け与えることを意味する.神の「恵み」により人間は歴史の意味を知るのであり,そのことにより人間は罪を自覚し,歴史を創り出すことが不可能であることを知る.これはキリスト教信仰の特徴にもなっている.

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